我妹子が声たち聞きし唐衣
その夜の露に袖は濡れにき
- 歌の意味
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恋しい人の声を物陰に立って聞いたあの夜、唐衣の袖は、その夜の露に濡れてしまったのだった。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 433
恋しい女の声を物陰に立って聞いていたあの夜、夜露に袖が濡れてしまった、と詠む歌である。声を聞くばかりで逢うことのできなかった夜を回想し、袖を濡らした夜露に、恋の涙を重ねている。
作者の「顕季」は、藤原隆経の子で、修理大夫に至った藤原顕季である。六条藤家の祖で、白河院の近臣として仕え、歌人として活躍した。
初句「我妹子が」は、いとしい人の、恋しい女のの意である。
二句「声たち聞きし」の「たち」は、物陰に「立ち」聞きする意と、三句の「唐衣」の縁で衣を「裁ち」の意とを掛けており、平仮名のままとした。過去の「き」の連体形「し」を用いる。
三句「唐衣」は中国風の美しい衣で、「裁つ」「袖」と縁語をなしている。
四句「その夜の露に」は、あの夜の夜露にの意で、涙の意を重ねている。
結句「袖は濡れにき」は、袖は濡れてしまったの意で、完了の「ぬ」に過去の「き」が付き、自ら経験した過去を回想している。
わぎもこ:いとしい妻、恋しい女
たつ:物陰に「立ち」聞きする意と、衣を「裁つ」意を掛ける
からころも:中国風の美しい衣
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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人心あさ沢水の根芹こそ 懲るばかりにもつままほしけれ
- 次の歌
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ことわりや思ひくらぶの山桜 にほひまされる春をめづるも