ことわりや思ひくらぶの山桜
にほひまされる春をめづるも
- 歌の意味
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もっともなことだ。思い比べてみると、くらぶ山の山桜のように、色香のまさっている春を愛でるのも。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 434
思い比べてみれば、くらぶ山の山桜のように色香のまさる方の春を愛でるのも無理はない、と詠む歌である。より美しい相手に心を移した恋人を、桜の色香の比較にたとえ、あきらめを含んだ皮肉で恨んでいる。
初句「ことわりや」は、もっともなことだの意で、詠嘆の間投助詞「や」で句切れとなる初句切れの歌である。倒置により結句の「めづるも」へと返っていく。
二句「思ひくらぶの」の「くらぶ」は、思い「比ぶ」意と、鞍馬山の古名とされる「くらぶ山」とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「山桜」は、くらぶ山に咲く山桜で、恋の相手をたとえている。
四句「にほひまされる」は、色つやが勝っているの意で、存続の「り」の連体形「る」を用いる。
結句「春をめづるも」は、春を愛でるのもの意で、心を移した恋人の新しい恋をたとえている。初句の「ことわりや」に返る形である。
くらぶ:思い「比ぶ」意と、鞍馬山の古名とされる「くらぶ山」を掛ける
にほふ:色美しく照り映える
めづ:愛する、賞美する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
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我妹子が声たち聞きし唐衣 その夜の露に袖は濡れにき
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恋ひわびて眺むる空の浮雲や 我が下燃えの煙なるらむ