恋ひわびて眺むる空の浮雲や
我が下燃えの煙なるらむ
- 歌の意味
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恋に思い悩んで物思いにふけりながら眺める空の浮雲は、私の胸の内でひそかに燃える思いの煙なのであろうか。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 435
恋に悩み、物思いにふけって眺める空に浮かぶ雲は、胸の奥でひそかに燃え続ける恋の火の煙なのだろうか、と詠む歌である。空の浮雲を、外には見せない恋の炎の煙と見立て、忍ぶ恋の苦しさを表している。
本巻の第四百六十五首は、同じ初句「恋ひわびて」で始まり、絶えぬ思いの煙が空の雲となるのかと詠んでいる。本歌が空の雲を見て煙かと問うのに対し、その歌は煙が空へのぼって雲となるかと問うており、雲と煙の関係を逆の方向から詠んで対をなしている。
作者の「周防内侍」は、周防守平棟仲の娘で、名を仲子という女房歌人である。後冷泉天皇から堀河天皇まで四代の天皇に仕え、小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「恋ひわびて」は、恋に思い悩んでの意で、本巻の第四百二十五首、第四百六十五首と同じ初句である。
二句「眺むる空の」は、物思いにふけって見やる空のの意である。
三句「浮雲や」は、空に浮かぶ雲はの意で、係助詞「や」は結句の「らむ」と係り結びをなしている。「浮き」には、つらい意の「憂き」が響いている。
四句「我が下燃えの」は、私の心の内でひそかに燃える思いのの意で、「下燃え」は表に出ずに燃える火をいう。
結句「煙なるらむ」は、煙なのであろうかの意で、現在推量の「らむ」の連体形で、三句の「や」を受けて結んでいる。
こひわぶ:恋に思い悩む
ながむ:物思いにふけりながら眺める
したもえ:表に出ずにひそかに燃えること。忍ぶ恋の思い
- 作者
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周防内侍
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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ことわりや思ひくらぶの山桜 にほひまされる春をめづるも
- 次の歌
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逢ふことのひさしに葺けるあやめ草 ただかりそめのつまとこそ見れ