逢はずとも無からむ世にも思ひ出でよ
我ゆゑ命絶えし人ぞと
- 歌の意味
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逢ってくれなくても、私の亡き後の世にでも思い出してほしい。私のために命が絶えた人なのだと。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 442
たとえ逢ってくれなくても、私がこの世を去った後には、あの人は私のために命を落としたのだと思い出してほしい、と詠む歌である。報われない恋に命をかける覚悟と、死後にせめて思い出されたいという切ない願いを表している。
巻第七の巻末の第四百二十首は、頼みとする言葉もないまま露の命をつなぐ嘆きを詠んでおり、本歌は恋ゆえに命の絶えた後を思う点で、その嘆きをさらに推し進めている。
初句「逢はずとも」は、逢わなくてもの意で、逆接仮定の接続助詞「とも」を用いる。
二句「無からむ世にも」は、私がいなくなった後の世にもの意で、推量の「む」の連体形を用いる。
三句「思ひ出でよ」は、思い出してくれの意で、命令形で句切れとなる三句切れの歌である。倒置により下の句の内容を思い出せと続く。
四句「我ゆゑ命」は、私のために命がの意である。
結句「絶えし人ぞと」は、絶えた人なのだとの意で、過去の「き」の連体形「し」と、強意の係助詞「ぞ」を用いている。
ゆゑ:ため、原因
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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思ひきや逢ひ見し夜半の嬉しさに 後のつらさのまさるべしとは
- 次の歌
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する墨も落つる涙にあらはれて 恋しとだにもえこそ書かれね