色見えぬ心ばかりはしづむれど
涙はえこそ忍ばざりけれ
- 歌の意味
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色に見えない心だけは静めて抑えているけれども、涙だけはとうてい忍ぶことができなかったことだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 444
外には見えない心だけはどうにか抑えているが、涙だけはこらえることができなかった、と詠む歌である。心は隠せても涙は隠せないという対比によって、忍ぶ恋の限界を表している。
前歌の第四百四十三首が涙に墨が洗われて文字も書けないと詠むのを受け、本歌も涙が思いを隠しきれないことを詠んでいる。本巻の第四百五十首は、思いがそのまま色に出るならば言わなくても伝わるだろうにと詠んでおり、色に見えない心を詠む点で通じている。
作者の「国信」は、右大臣源顕房の子で、権中納言に至った源国信である。堀河百首の作者の一人で、自邸で歌合を催した。
初句「色見えぬ」は、色に表れて見えないの意で、外からはうかがえないことをいう。
二句「心ばかりは」は、心だけはの意で、副助詞「ばかり」は限定を表す。
三句「しづむれど」は、静めて抑えているけれどもの意で、逆接の接続助詞「ど」を用いる。
四句「涙はえこそ」は、涙はとうていの意で、副詞「え」が結句の打消と呼応する。係助詞「こそ」は結句の「けれ」と係り結びをなしている。
結句「忍ばざりけれ」は、こらえることができなかったことだの意で、詠嘆の「けり」の已然形「けれ」で、四句の「こそ」を受けて結んでいる。
しづむ:静める、抑える
しのぶ:こらえる、人目に隠す
- 作者
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源国信
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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する墨も落つる涙にあらはれて 恋しとだにもえこそ書かれね
- 次の歌
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逢ふことは夢ばかりにてやみにしを さこそ見しかと人に語るな