逢ふことは夢ばかりにてやみにしを
さこそ見しかと人に語るな
- 歌の意味
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逢うことは夢のようにわずかなままで終わってしまったのに、それほど深い仲であったと人に語らないでくれ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 445
逢瀬は夢のようにはかなく終わってしまったのに、さも深い仲であったかのように人に語らないでほしい、と詠む歌である。短く終わった恋を誇張して言いふらされることを恐れ、浮名の立つのを避けようとする心を表している。
本巻の第四百八十五首も、夢に見たと人に語ることを詠んでおり、夢と人への語りを詠む点で対をなしている。
初句「逢ふことは」は、恋人に逢うことはの意である。
二句「夢ばかりにて」は、夢ほどのわずかなものでの意で、夢のようにはかなくの意を含む。
三句「やみにしを」の「やみ」は、終わる意の「止み」と、二句の「夢」の縁で「闇」とを掛けており、平仮名のままとした。完了の「ぬ」、過去の「き」に逆接の接続助詞「を」が付いている。
四句「さこそ見しかと」は、それほど深く契ったのだとの意で、係助詞「こそ」を過去の「き」の已然形「しか」で結んでいる。
結句「人に語るな」は、人に語ってくれるなの意で、禁止の終助詞「な」で結んでいる。
やむ:終わる意の「止む」と、「闇」を掛ける
みる:男女が逢う、契りを結ぶ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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色見えぬ心ばかりはしづむれど 涙はえこそ忍ばざりけれ
- 次の歌
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葦垣に隙なくかかる蜘蛛のいの ものむつかしく繁る我が恋