押さふれど余る涙はもる山の
なげきに落つる雫なりけり
- 歌の意味
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袖で押さえても余ってこぼれる涙は、守山の投げ木から漏れ落ちる雫のように、嘆きから落ちる雫であったのだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 447
袖で押さえてもこぼれ出る涙は、守山の木々から漏れ落ちる雫のように、嘆きから落ちる雫であったのだ、と詠む歌である。近江の歌枕の守山と、嘆き、投げ木とを掛詞で詠み込み、こらえきれずにあふれる涙を山の雫に見立てている。
次歌の第四百四十八首も「なげきの森」を詠んでおり、嘆きを山や森の木に見立てる二首が並んでいる。
初句「押さふれど」は、袖で押さえてもの意で、逆接の接続助詞「ど」を用いる。
二句「余る涙は」は、押さえきれずにあふれる涙はの意である。
三句「もる山の」の「もる」は、涙が「漏る」意と、近江の歌枕の「守山」とを掛けており、平仮名のままとした。
四句「なげきに落つる」の「なげき」は、「嘆き」と、薪にする木の「投げ木」とを掛けており、平仮名のままとした。「木」は三句の「山」と縁語をなしている。次歌の第四百四十八首の二句「なげきの森」と同じ語である。
結句「雫なりけり」は、雫であったのだの意で、断定の「なり」に詠嘆の「けり」が付き、気づきを表している。
もる:涙が「漏る」意と、近江の歌枕の「守山」を掛ける
なげき:「嘆き」と、薪にする木の「投げ木」を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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葦垣に隙なくかかる蜘蛛のいの ものむつかしく繁る我が恋
- 次の歌
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いかにせむなげきの森は繁けれど 木の間の月の隠れなき世を