ほととぎす雲居のよそになりしかば
我ぞなごりの空になかれし
- 歌の意味
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ほととぎすが雲のかなたの遠いところへ去ってしまったので、私こそが、その名残の空に向かって泣いてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 451
ほととぎすが雲のかなたへ飛び去ってしまうと、ほととぎすに代わって、自分こそがその名残の空に向かって泣いたのだった、と詠む歌である。ほととぎすの鳴き声と自らの泣き声を重ね、遠く隔たってしまった恋人を慕う思いを表している。「雲居」は宮中の意にも用いられる語であり、恋人が手の届かないところへ去ったことを重ねているとみられる。
作者の「公実」は、藤原実季の子で、春宮大夫を務め権大納言に至った藤原公実である。堀河百首の作者の一人である。
初句「ほととぎす」は、夏を告げて鳴く鳥で、恋の思いを誘う景物である。
二句「雲居のよそに」は、雲のかなたの遠い所にの意である。「雲居」は宮中をいう語でもある。
三句「なりしかば」は、なってしまったのでの意で、過去の「き」の已然形「しか」に接続助詞「ば」が付き、原因を表す。
四句「我ぞなごりの」は、私こそが名残のの意で、係助詞「ぞ」は結句の「し」と係り結びをなしている。
結句「空になかれし」の「なかれ」は、ほととぎすが「鳴く」意と、自分が「泣く」意とを掛けており、平仮名のままとした。自発の「る」、過去の「き」の連体形「し」で、四句の「ぞ」を受けて結んでいる。
くもゐ:雲のある遥かな所。宮中をいう
なごり:去った後に残る気配や余韻
なく:ほととぎすが「鳴く」意と、自分が「泣く」意を掛ける
- 作者
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藤原公実
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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我が恋の思ふばかりの色に出でば 言はでも人に見えましものを
- 次の歌
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水の面に降る白雪のかたもなく 消えやしなまし人のつらさに