今人の心をみわの山にてぞ
すぎにし方は思ひ知らるる
- 歌の意味
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今になってあの人の心を見た、その三輪の山の杉ではないが、過ぎ去った昔の頃のことが、しみじみと思い知られることだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 457
今になってあの人の心の変わりようを見て、三輪山の杉ではないが、過ぎてしまった昔の頃のことがしみじみと思い知られる、と詠む歌である。大和の歌枕の三輪山と、その名物の杉を掛詞で詠み込み、心変わりした相手を前に、かつての恋を省みている。
三輪山の杉は、古今和歌集の「我が庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉立てる門」以来、恋しい人を待つしるしとして詠まれてきた景物である。
初句「今人の」は、今になってあの人のの意である。
二句「心をみわの」の「みわ」は、心を「見」るの意と、大和の歌枕の「三輪」とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「山にてぞ」は、三輪の山でこその意で、係助詞「ぞ」は結句の「るる」と係り結びをなしている。
四句「すぎにし方は」の「すぎ」は、時が「過ぎ」の意と、三輪山の「杉」とを掛けており、平仮名のままとした。「方」は過ぎ去った頃の意である。
結句「思ひ知らるる」は、思い知られることだの意で、自発の「る」の連体形「るる」で、三句の「ぞ」を受けて結んでいる。
みわ:心を「見」る意と、大和の歌枕の「三輪」を掛ける
すぎ:時が「過ぎ」の意と、三輪山の「杉」を掛ける
かた:頃、時
- 出典
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金葉和歌集
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名に立てるあはでの浦のあまだにも みるめはかづくものとこそ聞け
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めづらしや岩間に淀む忘れ水 幾日を過ぎて思ひ出づらむ