四方の海の浦々ごとにあされども
あやしく見えぬいけるかひかな
- 歌の意味
-
四方の海の浦々をくまなく探しまわっても、貝が見つからないように、不思議なことに見つからない、生きている甲斐であることよ。
- 鑑賞
-
巻第八 恋歌下 461
四方の海の浦々をくまなく探し回っても、不思議なことに見つからない貝のように、生きている甲斐が見いだせない、と詠む歌である。貝と甲斐を掛詞とし、恋人に逢えないまま生きる張り合いを見失った嘆きを表している。
次歌の第四百六十二首も「浦々」「かひ」を詠み、二首で一組の趣向をなしている。本歌が浦々を探しても甲斐が見えないと詠むのに対し、次歌は波がまれに寄る浦々に何の甲斐があろうかと詠んでいる。
初句「四方の海の」は、四方の海のの意で、字余りとなっている。
二句「浦々ごとに」は、どの浦にもの意である。次歌の第四百六十二首の三句「浦々は」と同じ語を用いる。
三句「あされども」は、探し求めてもの意で、逆接の接続助詞「ども」を用いる。
四句「あやしく見えぬ」は、不思議なことに見えないの意である。
結句「いけるかひかな」の「かひ」は、海の「貝」と、生きる「甲斐」とを掛けており、平仮名のままとした。詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。次歌の第四百六十二首の結句「かひ」も同じ掛詞である。
よものうみ:四方の海
あさる:探し求める
かひ:海の「貝」と、生きる「甲斐」を掛ける
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
恋ひわぶる君に逢ふてふ言の葉は 偽りさへぞ嬉しかりける
- 次の歌
-
たまさかに波の立ち寄る浦々は 何のみるめのかひかあるべき