名きくよりかねても移る心かな
いかにしてかは逢ふべかるらむ
- 歌の意味
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名を聞いただけで、菊の色が移ろうように、前もって移ってしまう心であることよ。どのようにしたら逢うことができるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 464
名を聞いただけで、まだ逢わないうちから早くも心が移ってしまった、どうすれば逢うことができるのだろうか、と詠む歌である。聞くと菊を掛け、色の移ろう菊に寄せて、噂に聞くだけで心ひかれる恋を表している。
初句「名きくより」の「きく」は、名を「聞く」意と、花の「菊」とを掛けており、平仮名のままとした。名を聞いたときからの意となる。
二句「かねても移る」は、前もって移るの意で、まだ逢わないうちから心が相手へ移ることをいう。「移る」は菊の花の色が変わる意を響かせ、初句の「菊」と縁語をなしている。
三句「心かな」は、心であることよの意で、詠嘆の終助詞「かな」で句切れとなる三句切れの歌である。
四句「いかにしてかは」は、どのようにしての意で、係助詞「かは」は結句の「らむ」と係り結びをなしている。
結句「逢ふべかるらむ」は、逢うことができるのだろうかの意で、可能の「べし」に現在推量の「らむ」が付き、四句の「かは」を受けて結んでいる。
きく:名を「聞く」意と、花の「菊」を掛ける
うつる:心が移る。菊の色が移ろう意を響かせる
- 出典
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金葉和歌集
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あさましく涙に浮かぶ我が身かな 心軽くは思はざりしを
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恋ひわびて絶えぬ思ひの煙もや 空しき空の雲となるらむ