送りては帰れと思ひし魂の
ゆきさすらひて今朝はなきかな
- 歌の意味
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あなたを見送ったら、私のもとへ帰って来いと思っていた魂が、そのままさまよい出てしまって、今朝は私の身にないことだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 473
帰っていく恋人を見送った後は自分のもとへ戻れと思っていた魂が、恋人について行ったきりさまよって、今朝はこの身にない、と詠む歌である。恋人との別れの後の放心を、魂が身を離れてさまよい出たと表している。
次歌の第四百七十四首は「送り」の語を受け、影のほかに送りはしなかったと詠んでおり、二首は送ることをめぐって呼応している。
初句「送りては」は、見送ってはの意で、帰っていく恋人を送ることをいう。
二句「帰れと思ひし」は、帰って来いと思ったの意で、過去の「き」の連体形「し」を用い、字余りとなっている。
三句「魂の」は、魂がの意である。
四句「ゆきさすらひて」は、行ってさまよっての意である。
結句「今朝はなきかな」は、今朝はわが身にないことだの意で、詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。
たましひ:魂
さすらふ:さまよう、あてもなく漂う
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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今日こそはいはせの森の下紅葉 色に出づれば散りもしぬらめ
- 次の歌
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冬の夜の雪げの空に出でしかど 影よりほかに送りやはせし