梓弓帰る朝の思ひには
引きくらぶべきことのなきかな
- 歌の意味
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恋人のもとから帰る朝のつらい思いには、引き比べることのできるものなど何もないことだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 480
恋人のもとから帰る朝のつらい思いには、比べられるようなものは何もない、と詠む歌である。梓弓の縁語を連ね、後朝の別れのつらさをこの上ないものとして表している。
本巻の第四百二十三首も後朝の別れのつらさを、明けゆく空が涙に暗むと詠んでいる。
作者の「顕輔」は、六条藤家の祖藤原顕季の子で、左京大夫に至った藤原顕輔である。崇徳院の命を受けて詞花和歌集を撰進した。
初句「梓弓」は、梓の木で作った弓の意で、ここでは「帰る」を導く枕詞として用いられている。四句の「引き」と縁語をなしている。
二句「帰る朝の」は、恋人のもとから帰る朝のの意で、後朝の別れをいう。
三句「思ひには」は、思いにはの意である。
四句「引きくらぶべき」は、引き比べることのできるの意で、「引き」は弓を引く意を響かせ、初句の「梓弓」と縁語をなしている。
結句「ことのなきかな」は、ものがないことだの意で、詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。
あづさゆみ:梓の木で作った弓。ここでは「帰る」を導く枕詞
ひきくらぶ:引き比べる
きぬぎぬ:男女が共寝した翌朝の別れ
- 作者
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藤原顕輔
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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君こそは一夜めぐりの神と聞け 何逢ふことの方違ふらむ
- 次の歌
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うらむともみるめもあらじものゆゑに 何かはあまの袖濡らすらむ