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あしひきの山のまにまに倒れたる
からきはひとり臥せるなりけり

歌の意味
山のあちこちに倒れている枯れ木は、ひとりで横たわっているのだった。つらいことに、私もひとりで寝ているのだ。
鑑賞
巻第八 恋歌下 492

 山のあちこちに倒れている枯れ木は、ひとりで横たわっているのだった、と詠む歌である。枯れ木と辛きを掛け、山に倒れ伏す枯れ木に、恋人に逢えずひとり寝するつらさを重ねている。

 初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山のまにまに」は、山のあちこちにの意である。
 三句「倒れたる」は、倒れているの意で、存続の「たり」の連体形を用いる。
 四句「からきはひとり」の「からき」は、枯れた木の「枯木」と、つらい意の「辛き」とを掛けているとみられ、平仮名のままとした。
 結句「臥せるなりけり」は、横たわっているのだったの意で、存続の「り」の連体形「る」に断定の「なり」、詠嘆の「けり」が付き、ひとり寝の身への気づきを表している。

あしひきの:「山」にかかる枕詞
からき:「枯木」と、つらい意の「辛き」を掛けるとみられる
ふす:横になる、寝る
作者
よみ人しらず
出典
金葉和歌集
前の歌
天雲のかへしの風の音せぬは 思はれじとの心なるべし
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み熊野に駒のつまづく青つづら 君こそ我がほだしなりけれ