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逢ふことは舟人弱み漕ぐ舟の
みをさかのぼる心地こそすれ

歌の意味
逢うことは、漕ぎ手の力が弱くて進まない舟で澪をさかのぼるように、わが身を流れに逆らわせるような、ままならない心地がする。
鑑賞
巻第八 恋歌下 511

 逢うことは、漕ぎ手の力が弱くてなかなか進まない舟で、澪をさかのぼっていくような、ままならない心地がする、と詠む歌である。澪と身をを掛け、流れに逆らって進めない舟に、思うに任せない恋を重ねている。
 作者の「公実」は、藤原実季の子で、春宮大夫を務め権大納言に至った藤原公実である。堀河百首の作者の一人である。

 初句「逢ふことは」は、恋人に逢うことはの意である。本巻の第五百一首、第五百四首も同じ初句で始まっている。
 二句「舟人弱み」は、漕ぎ手の力が弱いのでの意で、形容詞の語幹に「み」が付いて原因を表す形である。
 三句「漕ぐ舟の」は、漕ぐ舟がの意である。
 四句「みをさかのぼる」の「みを」は、舟の通る水路の「澪」と、わが「身を」とを掛けており、平仮名のままとした。
 結句「心地こそすれ」は、心地がするの意で、係助詞「こそ」とサ変動詞「す」の已然形「すれ」の係り結びで結んでいる。

ふなびと:舟を漕ぐ人
みを:舟の通る水路の「澪」と、「身を」を掛ける
作者
藤原公実
出典
金葉和歌集
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玉津島岸打つ波の立ち返り せないでましぬ名残さびしも
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心からつきなき恋をせざりせば 逢はでやみにはまどはざらまし