心からつきなき恋をせざりせば
逢はでやみにはまどはざらまし
- 歌の意味
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自分の心から、手がかりのない、月のない闇のような恋をしなかったならば、逢えずに終わるという闇に迷うこともなかっただろうに。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 512
自分から好んで、手がかりのない恋、月のない闇のような恋をしなかったならば、逢えずに終わるという闇に迷うこともなかっただろう、と詠む歌である。手がかりのない意の「つきなし」に月の無いことを、恋が止む意に闇を掛け、自ら招いた恋の迷いを嘆いている。
初句「心から」は、自分の心からの意で、自ら招いたことをいう。
二句「つきなき恋を」の「つき」は、手がかりがない意の「付き無し」と、「月」の無いこととを掛けており、平仮名のままとした。月の無いことは四句の「闇」と縁語をなしている。
三句「せざりせば」は、しなかったならばの意で、過去の「き」の未然形「せ」に「ば」が付いた反実仮想の条件を表す。
四句「逢はでやみには」の「やみ」は、逢わないまま恋が終わる意の「止み」と、「闇」とを掛けており、平仮名のままとした。係助詞「は」が添い、逢わずに終わる闇には、の意となる。
結句「まどはざらまし」は、迷わなかっただろうにの意で、反実仮想の「まし」を用い、三句の「せざりせば」と呼応している。
つきなし:手がかりがない、ふさわしくない。「月無し」を掛ける
やむ:恋が終わる意の「止む」と、「闇」を掛ける
まどふ:心が乱れて迷う
- 出典
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金葉和歌集
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逢ふことは舟人弱み漕ぐ舟の みをさかのぼる心地こそすれ
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かくばかり恋の病は重けれど 目にかけさけて逢はぬ君かな