植ゑおきし君もなき世に年経たる
花は我が身の心地こそすれ
- 歌の意味
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この木を植えておいたあなたもいなくなった世に、年を重ねて咲いている花は、まるで私自身のような気がすることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 518
花の木を植えておいた人ももうこの世にいないのに、年を重ねて咲き続けている花は、自分の身のように思われる、と詠む歌である。植えた人に先立たれて残された花に、親しい人を失って生き残った自分の身を重ねており、亡き人を偲ぶ哀傷の思いが込められている。
結句「心地こそすれ」は、本巻の第五百二十八首の結句と同じである。
初句「植ゑおきし」は、植えておいたの意で、過去の「き」の連体形「し」が二句の「君」にかかる。
二句「君もなき世に」は、あなたもいなくなったこの世にの意で、植えた人がすでに亡くなっていることを示している。
三句「年経たる」は、年を重ねてきたの意で、存続の「たり」の連体形が四句の「花」にかかる。
四句「花は我が身の」は、花は私自身のの意で、残された花と生き残った作者とを重ねている。
結句「心地こそすれ」は、気持ちがすることだの意で、係助詞「こそ」を受けてサ変動詞「す」の已然形「すれ」で結ぶ係り結びとなっている。本巻の第五百二十八首も同じ結句である。
うゑおく:植えておく
- 出典
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金葉和歌集
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山里も憂き世の中を離れねば 谷の鶯音をのみぞ鳴く
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