もろともにあはれと思へ山桜
花よりほかに知る人もなし
- 歌の意味
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私がおまえを懐かしく思うように、おまえも私をいとしいと思ってくれ、山桜よ。花であるおまえのほかに、私の心を知る人もいないのだから。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 521
私がおまえをしみじみ懐かしく思うように、おまえも私をいとしく思ってくれ、山桜よ、この山奥では花のほかに私の心を知る人もいないのだから、と詠む歌である。山桜に人のように呼びかけ、厳しい修行の中で出会った花に、孤独な心を通わせようとしている。
伝本の中には、大峰で思いがけず桜の花が咲いているのを見て詠んだとする詞書を持つものがある。修験の行者として知られた作者が、大峰の山中での修行のさなかに山桜を見つけて詠んだ歌とされる。小倉百人一首にも採られている名高い歌である。
作者の「行尊」は、参議源基平の子で、園城寺の僧として大僧正に至り、修験者としても名高い歌人である。
初句「もろともに」は、互いにいっしょにの意で、私と山桜とがともにの意である。
二句「あはれと思へ」は、いとしいと思ってくれの意で、「思へ」は命令形である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「山桜」は、山に咲く桜の意で、呼びかけとして用いられている。
四句「花よりほかに」は、花であるおまえのほかにの意である。
結句「知る人もなし」は、私の心を知る人もいないの意で、山中の孤独を言い切って結んでいる。
- 作者
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行尊
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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幾千代も君ぞ語らむ積もりゐて 面白かりし花の御幸を
- 次の歌
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幾年に我なりぬらむ諸人の 花見る春をよそに聞きつつ