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ますらをは山田の庵に老いにけり
今幾千代にあはむとすらむ

歌の意味
ますらおは山の田の庵で年老いてしまった。この先さらに幾千代の御代にめぐりあおうとするのだろうか。
鑑賞
巻第九 雑歌上 531

 ますらおは山の田の番小屋で年老いてしまった、これからさらに幾千代の御代にめぐりあおうとしているのだろうか、と詠む歌である。山の田を守って老いた男の姿に、長く世に仕えてきた身を重ね、なお長い御代にめぐりあおうとする長寿を祝う心とも、老いの身への感慨とも読める。
 前歌の第五百三十首が神代から続く住吉の松の齢をたたえたのに続き、本歌も「幾千代」と長い年月を詠んでいる。本巻の第五百二十首の初句「幾千代も」とも響き合っている。

 初句「ますらをは」は、ますらおはの意で、「ますらを」は立派な男子、勇ましい男をいう。
 二句「山田の庵に」は、山の田の番をする仮小屋での意である。
 三句「老いにけり」は、年老いてしまったの意で、完了の「ぬ」に詠嘆の「けり」が付き、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「今幾千代に」は、この先さらに幾千代にの意で、本巻の第五百二十首の初句「幾千代も」と響き合っている。
 結句「あはむとすらむ」は、めぐりあおうとしているのだろうかの意で、意志の「む」に「とす」、現在推量の「らむ」が付いている。

ますらを:立派な男子、勇ましい男
いほ:仮に造った粗末な小屋
出典
金葉和歌集
前の歌
幾かへり花咲きぬらむ住吉の 松も神代のものとこそ聞け
次の歌
かくてしもえぞ住むまじき山里の 細谷川の心細さに