春の来しその日つららは解けにしを
又何事にとどこほるらむ
- 歌の意味
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春が来たその日に、つららはもう解けてしまったのに、また何のために滞っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 534
春が来たその日に氷は解けてしまったのに、いったいまた何のために滞っているのだろうか、と詠む歌である。春の訪れとともに解ける氷を、物事がうまく運ぶことにたとえ、それにもかかわらず事が進まない状況をいぶかしむ思いを詠んでいる。何らかの事情で滞っている物事について、相手に問いかけた歌とみられる。
「とどこほる」は、本巻の第五百八十四首にも「とどこほらぬは涙なりけり」と詠まれ、冬の夜にも凍らない涙を詠んでいる。本歌の解けた氷と、第五百八十四首の凍らない涙とが響き合っている。
初句「春の来し」は、春が来たの意で、過去の「き」の連体形「し」が二句の「その日」にかかる。
二句「その日つららは」は、その日に氷はの意で、「つらら」は張りつめた氷をいう。
三句「解けにしを」は、解けてしまったのにの意で、完了の「ぬ」に過去の「き」、逆接の接続助詞「を」が付いている。
四句「又何事に」は、また何のためにの意である。
結句「とどこほるらむ」は、滞っているのだろうかの意で、現在推量の「らむ」を用いて、事が進まない理由をいぶかしんで結んでいる。本巻の第五百八十四首の四句「とどこほらぬは」と響き合っている。
つらら:水面などに張りつめた氷
とどこほる:物事が順調に進まない、つかえる
- 出典
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金葉和歌集
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