玉櫛笥二見の浦の貝しげみ
蒔絵に見ゆる松のむら立ち
- 歌の意味
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二見の浦には貝が多いので、群がり立つ松の木立が、まるで貝をちりばめた蒔絵のように見える。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 544
二見の浦には貝がたくさんあるので、浜辺に群がって立つ松の木立が、まるで貝をちりばめた蒔絵のように見える、と詠む歌である。伊勢の二見の浦の美しい景色を、櫛笥に施された螺鈿の蒔絵に見立てている。
初句の枕詞「玉櫛笥」から、「二見」の蓋、貝、蒔絵と、櫛笥にちなむ語を連ねた技巧的な歌である。
初句「玉櫛笥」は、櫛などを入れる美しい箱の意で、蓋をすることから「ふた」と同音の「二見」にかかる枕詞である。
二句「二見の浦の」は、伊勢国の歌枕である二見の浦のの意で、「二見」の「ふた」が初句の「櫛笥」の蓋と縁をなしている。
三句「貝しげみ」は、貝が多いのでの意で、形容詞の語幹「しげ」に接尾語「み」が付いて理由を表す。「貝」は櫛笥に施す螺鈿を連想させる。
四句「蒔絵に見ゆる」は、蒔絵のように見えるの意で、浜辺の景色を櫛笥の蒔絵に見立てている。初句の「櫛笥」と縁語をなしている。
結句「松のむら立ち」は、群がって立つ松の木立の意で、体言止めで結んでいる。
たまくしげ:櫛などを入れる美しい箱。「ふた」「みむろ」などにかかる枕詞
まきゑ:漆で文様を描き、金銀粉などを蒔きつけた工芸
むらだち:群がって立つこと、また群がって立つもの
- 出典
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金葉和歌集
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琴の音は月の影にも通へばや 空に調べの澄みのぼるらむ
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白雲とよそに見つればあしひきの 山もとどろに落つる滝つ瀬