返さじとかねて知りにき唐衣
恋しかるべき我が身ならねば
- 歌の意味
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返してはくれないだろうと前から知っていた。唐衣を返すような恋しい間柄の私ではないのだから。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 549
あなたが返してはくれないだろうということは、前からわかっていた、私はあなたに恋しく思われるような身ではないのだから、と詠む歌である。衣を裏返して寝ると恋しい人の夢を見るという俗信を踏まえ、唐衣を「返す」ことに、相手が自分を恋しく思わないことを重ねて、すねるような心を表している。
前歌の第五百四十八首の結句の「鐘」と、本歌の二句の「かねて」とが同じ音で響き合っている。
初句「返さじと」は、返さないだろうとの意で、打消推量の「じ」が用いられている。三句の「唐衣」と縁語をなしている。
二句「かねて知りにき」は、前から知っていたの意で、完了の「ぬ」に過去の「き」が付き、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「唐衣」は、美しい衣の意で、衣を裏返して寝ると恋しい人を夢に見るという俗信を踏まえている。
四句「恋しかるべき」は、恋しく思われるはずのの意で、推量の「べし」の連体形が結句の「我が身」にかかる。
結句「我が身ならねば」は、我が身ではないのでの意で、打消の「ず」の已然形に接続助詞「ば」が付いて理由を表し、二句以前に対して倒置の形で結んでいる。
からころも:中国風の美しい衣。また衣の美称
- 出典
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金葉和歌集
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大江山いくのの道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立