無き名にぞ人のつらさは知られける
忘られしには身をぞ恨みし
- 歌の意味
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根も葉もない噂によって、あの人の薄情さがわかったことだ。忘れられたときには、自分の身を恨んだのに。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 558
根も葉もない噂を立てられたことで、あの人の薄情さを思い知った、忘れられたときにはわが身のつたなさを恨んだものだったが、と詠む歌である。相手に忘れられたときは自分の至らなさのせいと思っていたが、事実無根の噂を信じられて、相手の冷たさを初めて知ったという心の移り変わりを詠んでいる。
作者の「公実」は、権大納言藤原実季の子で、権大納言に至った藤原公実である。待賢門院璋子の父で、堀河百首の作者の一人である。
初句「無き名にぞ」は、根も葉もない噂によっての意で、係助詞「ぞ」が三句の「ける」と係り結びをなしている。
二句「人のつらさは」は、あの人の薄情さはの意である。
三句「知られける」は、わかったことだの意で、自発の「る」に過去の「けり」の連体形が付き、初句の「ぞ」を受けて結び、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「忘られしには」は、忘れられたときにはの意で、受身の「る」に過去の「き」が付いている。
結句「身をぞ恨みし」は、我が身を恨んだものだの意で、係助詞「ぞ」を受けて過去の「き」の連体形「し」で結ぶ係り結びとなっている。上の句と下の句とがともに「ぞ」による係り結びで、対をなしている。
なきな:根も葉もない噂、濡れ衣
- 作者
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藤原公実
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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梓弓さこそは反りの高からめ はるほどもなくかへるべしやは
- 次の歌
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いかにせむ山田に囲ふ垣柴の しばしの間だに隠れなき世を