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草枕さこそは旅の床ならめ
今朝しも起きてかへるべしやは

歌の意味
さぞかし旅の寝床なのであろうが、だからといって、よりによって今朝起きて帰ってしまってよいものだろうか。
鑑賞
巻第九 雑歌上 564

 ここはさぞかし仮の旅の寝床なのだろうが、だからといって、よりによって今朝起きてすぐに帰ってしまってよいものだろうか、と詠む歌である。一夜を過ごしただけで早々に帰ろうとする人を引き留める心を詠んでいる。
 本巻の第五百五十七首と、「さこそは…め…かへるべしやは」という同じ型で詠まれており、ともに早く帰ろうとする相手を引き留める趣向をとっている。第五百五十七首が弓にちなむ語で春に帰る人を詠んだのに対し、本歌は旅の床で一夜を明かした人を詠んでいる。

 初句「草枕」は、草を結んで枕とする意で、「旅」にかかる枕詞である。
 二句「さこそは旅の」は、さぞかし旅のの意で、係助詞「こそ」が三句の「め」と係り結びをなしている。本巻の第五百五十七首の二句「さこそはそりの」と同じ型である。
 三句「床ならめ」は、寝床なのであろうの意で、推量の「む」の已然形「め」で二句の「こそ」を受けて結び、逆接的に下の句へ続いている。
 四句「今朝しも起きて」は、よりによって今朝起きての意で、副助詞「しも」が強調を表している。「起き」は三句の「床」と縁をなしている。
 結句「かへるべしやは」は、帰ってしまってよいものかの意で、「やは」は反語を表す。本巻の第五百五十七首の結句と同じである。

くさまくら:草を結んで枕とすること。旅寝。「旅」にかかる枕詞
出典
金葉和歌集
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過ぎきける月日のほども知られつつ このみを見るもあはれなるかな
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