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うらやまし雲の梯立ち返り
再び昇る道を知らばや

歌の意味
うらやましいことだ。雲の梯を、立ち返って再び昇っていく道を知りたいものだ。
鑑賞
巻第九 雑歌上 570

 うらやましいことだ、宮中という雲の上へかける梯に立ち返り、再び昇っていくその道を、私も知りたいものだ、と詠む歌である。「雲の梯」は宮中への昇殿をたとえ、いったん昇殿を許されなくなった後に再び許された人をうらやみ、自分もその道を知りたいと願っている。
 本巻の第五百二十九首の「雲の通ひ路」と同じく、雲によって宮中への道を表している。次歌の第五百七十一首も「雲居の月」を詠み、宮中から遠ざかった身の嘆きを表している。初句「うらやまし」は本巻の第五百三十八首の初句と同じである。

 初句「うらやまし」は、うらやましいことだの意で、形容詞の終止形で言い切る初句切れの歌である。本巻の第五百三十八首の初句と同じ語である。
 二句「雲の梯」は、雲の中にかけ渡した梯の意で、宮中への昇殿をたとえている。本巻の第五百二十九首の「雲の通ひ路」と通じる表現である。
 三句「立ち返り」は、立ち戻っての意で、再び宮中に戻ることをいう。
 四句「再び昇る」は、再び昇っていくの意で、二句の「梯」と縁をなしている。
 結句「道を知らばや」は、道を知りたいものだの意で、願望の終助詞「ばや」で結んでいる。

くものかけはし:雲の中にかけ渡した梯。宮中への昇殿のたとえ
出典
金葉和歌集
前の歌
年ふれば我が頂に置く霜を 草の上とも思ひけるかな
次の歌
思ひきや雲居の月をよそに見て 心の闇に惑ふべしとは