日陰にはなき名立ちけり小忌衣
着て見よとこそ言ふべかりけれ
- 歌の意味
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日陰の蔓のかかる場では、根も葉もない噂が立ってしまったことだ。小忌衣を着て来て見よと、はっきり言っておくべきだった。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 574
日陰の蔓をかける神事の場では、根も葉もない噂が立ってしまった、それならば、小忌衣を着てやって来て自分の目で見よと言っておくべきだった、と詠む歌である。新嘗祭や豊明節会などの神事に奉仕した折に、事実無根の噂を立てられたことを、神事の装束にちなむ語で切り返している。
次歌の第五百七十五首は源俊頼の歌で、同じく「かけ」の語をめぐって詠まれており、二首で贈答をなしているとみられる。
初句「日陰には」は、日陰の蔓をかける場ではの意で、「日陰」は神事の際に冠にかける日陰の蔓をいう。
二句「なき名立ちけり」は、根も葉もない噂が立ってしまったの意で、詠嘆の「けり」で言い切り、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「小忌衣」は、大嘗祭や新嘗祭などの神事に奉仕する者が着る白い衣の意である。初句の「日陰」と縁語をなしている。
四句「着て見よとこそ」は、着て来て見よとの意で、係助詞「こそ」が結句の「けれ」と係り結びをなしている。「着」は三句の「衣」と縁をなしている。
結句「言ふべかりけれ」は、言うべきだったの意で、当然の「べし」に詠嘆の「けり」の已然形「けれ」が付き、四句の「こそ」を受けて結んでいる。
ひかげ:日陰の蔓。神事の際に冠にかけるかずら
をみごろも:大嘗祭や新嘗祭などの神事に奉仕する者が着る白い衣
なきな:根も葉もない噂、濡れ衣
- 出典
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金葉和歌集
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寝ぬる夜のかへさわかしく見えしかど 我が違ふれば事なかりけり
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亡き影にかけける太刀もあるものを さやつかの間に忘れ果てける