葉隠れてつはると見えしほどもなく
こはうみうめになりにけるかな
- 歌の意味
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葉に隠れて芽ぐんでいると見えたかと思うと、まもなく、これは熟した梅の実になったことだ。つわりかと見えたと思えば、まもなく子は産まれてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 577
葉に隠れて芽ぐんでいると見えたのも束の間、これはもう熟した梅の実になってしまった、と詠む歌である。梅の実の成熟を詠みながら、「つはる」に懐妊の兆しの「つわり」を、「こはうみうめ」に「子は産み」を響かせ、身ごもったと見えたのも束の間、もう子が産まれたことを興じて詠んでいる。
表の意味と裏の意味とを掛詞によって重ねた、機知に富む歌である。
初句「葉隠れて」は、葉に隠れての意で、梅の実が葉陰にあるさまをいう。
二句「つはると見えし」の「つはる」は、草木が芽ぐむ意と、身ごもって「つわり」になる意とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「ほどもなく」は、まもなくの意である。
四句「こはうみうめに」は、これは熟した梅にの意の「こは熟み梅に」と、子は産みの意の「子は産み」とを掛けており、平仮名のままとした。
結句「なりにけるかな」は、なったことだの意で、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」に終助詞「かな」が付いている。「なる」は実が「生る」意を響かせている。
つはる:草木が芽ぐむ意と、身ごもって「つわり」になる意を掛ける
うみうめ:熟した梅の意の「熟み梅」と、「子は産み」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
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見し人はひとり我が身に添はねども 後れぬものは涙なりけり
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人並みに心ばかりは立ち添ひて 誘はぬわかのうらみをぞする