行く人も立ちぞわづらふしかすがの
渡りや旅のとまりなるらむ
- 歌の意味
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旅をして行く人も、さすがに立ち去りかねている。しかすがの渡しこそが、旅の泊まりなのであろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 583
旅を行く人も、さすがに立ち去りかねている、しかすがの渡しこそが旅の泊まりなのであろうか、と詠む歌である。三河国の歌枕であるしかすがの渡しの名に、さすがにの意の「しかすがに」を重ね、旅人が立ち去りがたく思う地として詠んでいる。
前歌の第五百八十二首の四句「しかありけり」と、本歌の三句「しかすが」とが同じ音で響き合っている。
初句「行く人も」は、旅を行く人もの意である。
二句「立ちぞわづらふ」は、立ち去りかねているの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「わづらふ」で結ぶ係り結びとなり、ここで句切れとなる。
三句「しかすがの」は、三河国の歌枕である「しかすがの渡り」の名に、さすがにの意の「しかすがに」を掛けており、平仮名のままとした。前歌の第五百八十二首の「しかありけり」と同じ音を重ねている。
四句「渡りや旅の」は、渡し場が旅のの意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「らむ」と係り結びをなしている。
結句「とまりなるらむ」は、泊まりなのであろうかの意で、現在推量の「らむ」の連体形で、四句の「や」を受けて結んでいる。
しかすが:三河国の歌枕「しかすがの渡り」の名と、さすがにの意の「しかすがに」を掛ける
わづらふ:なかなかできずに困る
とまり:泊まる所、宿
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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三笠山神のしるしのいちしるく しかありけりと聞くぞうれしき
- 次の歌
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身の憂さを思ひしとけば冬の夜も とどこほらぬは涙なりけり