昔にもあらぬ姿になりゆけど
嘆きのみこそ面変はりせね
- 歌の意味
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昔とはすっかり違う姿になっていくけれども、嘆きだけは少しも様子が変わらないことだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 585
年老いて昔とはすっかり違う姿になっていくけれども、嘆きだけは昔のまま少しも変わらない、と詠む歌である。容貌は老いて変わっていくのに、心の嘆きだけは変わることなく続いていることを、姿の変化と嘆きの不変とを対比させて表している。
本巻の第五百七十六首が、親しい人は離れても涙だけは後れずについてくると詠んだのと同じく、変わらずに残るものとして嘆きを詠んでいる。次歌の第五百八十六首も老いの嘆きを詠んでいる。
初句「昔にも」は、昔ともの意である。
二句「あらぬ姿に」は、違う姿にの意で、打消の「ず」の連体形が用いられている。
三句「なりゆけど」は、なっていくけれどもの意で、逆接の接続助詞「ど」が用いられている。
四句「嘆きのみこそ」は、嘆きだけはの意で、係助詞「こそ」が結句の「ね」と係り結びをなしている。
結句「面変はりせね」は、様子が変わらないの意で、打消の「ず」の已然形「ね」で、四句の「こそ」を受けて結んでいる。「面変はり」は顔つきが変わることをいい、二句の「姿」と対をなしている。
おもがはり:顔つきが変わること、容貌の変化
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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身の憂さを思ひしとけば冬の夜も とどこほらぬは涙なりけり
- 次の歌
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さりともとかく眉墨のいたづらに 心細くも老いにけるかな