草の葉のなびくも待たず露の身の
置きどころなく嘆くころかな
- 歌の意味
-
草の葉が風になびくのも待たずに、露のようにはかない我が身は、身の置き所もなく嘆いているこのごろだ。
- 鑑賞
-
巻第九 雑歌上 588
草の葉が風になびいて露を落とすのも待たずに、露のようにはかない我が身は、身の置き所もなく嘆いているこのごろだ、と詠む歌である。草葉の露に我が身をたとえ、頼るものもなく居場所を失ったはかない身の嘆きを表している。
「露」「置き」と縁語を連ね、草の葉に置く露のはかなさに、身を寄せる所のない嘆きを重ねている。
初句「草の葉の」は、草の葉がの意である。
二句「なびくも待たず」は、風になびくのも待たずにの意で、風が吹いて露がこぼれる前にの意である。
三句「露の身の」は、露のようにはかない身のの意で、初句の「草の葉」と縁をなしている。
四句「置きどころなく」は、身の置き所もなくの意で、「置き」は三句の「露」が置く意と縁語をなしている。
結句「嘆くころかな」は、嘆いているこのごろだの意で、詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。
つゆのみ:露のようにはかない身
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
心こそ世をば捨てしか幻の 姿も人に忘られにけり
- 次の歌
-
千年まですまむ泉の底によも 影を並べむと思ひしもせじ