こゆるぎのいそぎて逢ひしかひもなく
波より越すと聞くはまことか
- 歌の意味
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急いで逢いに来た甲斐もなく、あなたの心が波が越えるように変わってしまったと聞くのは、本当なのか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 600
急いで逢いに来た甲斐もなく、あなたの心が、波が松山を越すように変わってしまったと聞くのは本当なのか、と詠む歌である。急いで逢ったにもかかわらず、相手が心変わりしたという噂を聞き、その真偽を問いただしている。
「波越す」は、『古今和歌集』の東歌「君をおきてあだし心を我が持たば末の松山波も越えなむ」を踏まえ、心変わりを表す表現である。
初句「こゆるぎの」は、相模国の歌枕の「こゆるぎの磯」から「いそ」にかかる枕詞である。
二句「いそぎて逢ひし」は、急いで逢ったの意で、「いそぎ」に初句の「こゆるぎの磯」の「磯」を響かせている。
三句「かひもなく」の「かひ」は、「甲斐」と、磯の「貝」とを掛けており、平仮名のままとした。初句の「磯」と縁語をなしている。
四句「波より越すと」は、波が越すようにの意で、末の松山を波が越すことに心変わりを重ねている。「波」は初句の「磯」と縁語をなしている。
結句「聞くはまことか」は、聞くのは本当なのかの意で、係助詞「か」で相手に問いかけて結んでいる。
こゆるぎ:相模国の歌枕「こゆるぎの磯」。「いそ」にかかる枕詞
かひ:「甲斐」と、磯の「貝」を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
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変はりゆく鏡の影を見るたびに おいその森の嘆きをぞする
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雲の上に馴れにしものを葦鶴の あふことかたに下りゐぬるかな