根に帰る花の姿の恋しくは
ただ木のもとを形見とは見よ
- 歌の意味
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根に帰っていった花の姿が恋しいのなら、ただこの木の下を形見として見なさい。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 605
散って根もとに帰っていった花の姿が恋しいのならば、ただその木の下を形見として見なさい、と詠む歌である。散った花を亡き人にたとえ、花の散り敷いた木の下を、亡き人を偲ぶよりどころとするよう説いている。
前歌の第六百四首が、主を失った家の梅の花に昔を語れと呼びかけたのを受け、本歌は散って根に帰った花を詠む。花に寄せて亡き人を偲ぶ歌が続いている。
初句「根に帰る」は、散った花が根もとに帰るの意である。花が散って木の根もとに落ちることを、もとの所へ帰ると見ている。
二句「花の姿の」は、花の姿がの意で、亡き人の面影を花の姿に重ねている。前歌の「花」を受けている。
三句「恋しくは」は、恋しいならばの意で、形容詞「恋し」の連用形に係助詞「は」が付いて仮定を表す。
四句「ただ木のもとを」は、ただこの木の下をの意で、花が帰っていった根もとを指している。
結句「形見とは見よ」は、形見として見なさいの意で、命令形「見よ」で結んでいる。
かたみ:亡き人や過ぎ去ったことを思い出すよりどころとなるもの
このもと:木の下、木の根もと
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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昔見し主顔にも梅が枝の 花だに我に物語せよ
- 次の歌
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桜ゆゑ厭ひし風の身にしみて 花より先に散りぬべきかな