よそながら世を背きぬと聞くからに
越路の空はうち時雨つつ
- 歌の意味
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遠く離れていながら、あなたが世を背いて出家したと聞くとすぐに、この越路の空には時雨が降り続いている。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 614
遠く離れた所にいながら、あの人が世を背いて出家したと聞いたとたんに、越路の空は時雨が降り続いている、と詠む歌である。越路の地で親しい人の出家を伝え聞き、時雨に寄せて、悲しみの涙にくれていることを表している。
本巻はここまで亡き人を悼む歌が続いたが、本歌は世を背いて出家した人を思う歌で、世を離れることへの悲しみを詠んでいる。
初句「よそながら」は、遠く離れていながらの意で、その場に居合わせずに伝え聞いたことを示している。
二句「世を背きぬと」は、世を背いてしまったとの意で、出家したことをいう。完了の「ぬ」が用いられている。
三句「聞くからに」は、聞くとすぐにの意で、接続助詞「からに」が、ある事が起こるとすぐに別の事が起こることを表している。
四句「越路の空は」は、越路の空はの意で、作者のいる北陸の地を示している。
結句「うち時雨つつ」は、時雨が降り続いての意で、接続助詞「つつ」が反復と継続を表す。時雨に作者の涙を重ね、言いさして余情を残している。
こしぢ:北陸道。越の国へ向かう道、またその地方
しぐる:時雨が降る。涙を流すことのたとえにも用いる
- 出典
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金葉和歌集
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呉竹のふし沈みぬる露の身も 問ふ言の葉におきぞゐらるる
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たらちめのなげきを積みて我がかく おもひの下になるぞ悲しき