たらちめのなげきを積みて我がかく
おもひの下になるぞ悲しき
- 歌の意味
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母に嘆きを積み重ねさせて、私がこのように火葬の火の下になってしまうのが悲しい。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 615
母の嘆きを積み重ねさせたうえに、自分がこうして火葬の火の下になってしまうのが悲しい、と詠む歌である。親に先立って世を去る子の立場から、母を嘆かせることの悲しさを詠んでいる。
「嘆き」に薪の「投げ木」、「思ひ」に「火」を掛け、「積みて」「下」と縁語でつなぎ、火葬の情景を重ねている。母を残して先立つ子の思いは、本巻の第六百十九首にも詠まれている。
初句「たらちめの」は、母のの意である。
二句「なげきを積みて」は、嘆きを積み重ねての意で、「嘆き」に、薪とする「投げ木」を掛けている。「積む」は薪を積む意と縁をなしている。
三句「我がかく」は、私がこのようにの意で、四句にかかる。
四句「おもひの下に」は、火の下にの意で、「思ひ」の「ひ」に「火」を掛けている。積み上げた薪の火の下になることで、火葬されることをいう。
結句「なるぞ悲しき」は、なってしまうのが悲しいの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ係り結びとなっている。
たらちめ:母
なげき:嘆きの意と、薪とする投げ木の意を掛ける
おもひ:思いの意と、火の意を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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よそながら世を背きぬと聞くからに 越路の空はうち時雨つつ
- 次の歌
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その夢を問はば嘆きやまさるとて 驚かさでも過ぎにけるかな