定めなき世をうき雲ぞあはれなる
頼みし君が煙と思へば
- 歌の意味
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無常な世をつらいものと思わせる浮き雲こそ、しみじみと心にしみる。頼りにしていたあなたの火葬の煙だと思うと。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 622
無常なこの世をつらいものと思わせる浮き雲こそ、しみじみと心にしみる、それは頼りにしていたあの人の火葬の煙だと思うから、と詠む歌である。空に浮かぶ雲に、頼みとしていた人を焼いた煙を見て、世の無常と深い悲しみを表している。
前歌の第六百二十一首に続き、「うき雲」と火葬の煙を詠む歌である。前歌が煙の雲にまじる果てを知ったと詠んだのに対し、本歌は雲そのものを亡き人の煙と見ている。
初句「定めなき」は、定まることのないの意で、無常を表している。
二句「世をうき雲ぞ」は、世をつらいと思わせる浮き雲がの意で、「世を憂き」と「浮き雲」とを掛けている。前歌の第六百二十一首の四句にも「うき雲」が詠まれている。
三句「あはれなる」は、しみじみと心にしみるの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結ぶ係り結びとなり、三句切れの歌である。
四句「頼みし君が」は、頼りにしていたあなたがの意で、過去の「き」の連体形「し」が用いられている。
結句「煙と思へば」は、火葬の煙だと思うとの意で、已然形に接続助詞「ば」が付いて理由を表す。三句以前と倒置になっている。
うきくも:空に浮かぶ浮き雲の意と、つらい意の「憂き」を掛ける
けぶり:煙。ここでは火葬の煙をいう
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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今ぞ知るおもひの果ては世の中の うき雲にのみまじるものとは
- 次の歌
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草木まで思ひけりとも見ゆるかな 松さへ藤の衣着てけり