見しままに我は悟りを得てしかば
知らせで取ると知らざらめやは
- 歌の意味
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見たそのままに、私は悟りを得てしまったのだから、知らせずに取ったとしても、それを知らないことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 627
見たそのままに私は悟りを得たのだから、知らせずに取っていったとしても、それを知らないはずがあろうか、と詠む歌である。どのような事情で詠まれたかは歌の言葉からは明らかでないが、悟りを得た身には隠しごとも通じないと、反語を用いて言い放っている。
前歌の第六百二十六首から仏法に関わる歌が続いており、本歌も「悟り」を詠んでいる。
初句「見しままに」は、見たそのままにの意で、過去の「き」の連体形「し」が用いられている。
二句「我は悟りを」は、私は悟りをの意である。
三句「得てしかば」は、得てしまったのだからの意で、完了の「つ」に過去の「き」の已然形「しか」、接続助詞「ば」が付いて確定条件を表す。
四句「知らせで取ると」は、知らせずに取るとの意で、打消の接続助詞「で」が用いられている。
結句「知らざらめやは」は、知らないことがあろうか、いや知っているの意で、推量の「む」の已然形「め」に係助詞「やは」が付いて反語を表している。四句の「知らせ」と「知ら」を重ねている。
さとり:迷いを離れて真理を知ること
- 出典
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