かくばかり東風てふ風の吹くを見て
塵の疑ひを起こさずもがな
- 歌の意味
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これほどに東風という風が吹くのを見て、塵ほどの疑いも起こさないでいたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 632
これほどに東風という風が吹いているのを見て、塵ほどの疑いも起こさないでいたいものだ、と詠む歌である。風が塵を巻き起こすことに寄せて、仏の教えに対して少しの疑いも起こすまいと願う心を表している。
本巻の第六百二十六首から仏法に関わる歌が続いており、本歌は教えを信じる心を詠んでいる。
初句「かくばかり」は、これほどにの意である。
二句「東風てふ風の」は、東風という風がの意で、「てふ」は「といふ」がつまった形である。
三句「吹くを見て」は、吹くのを見ての意である。
四句「塵の疑ひを」は、塵ほどのわずかな疑いをの意で、字余りとなっている。風に舞う「塵」と縁をなしている。
結句「起こさずもがな」は、起こさないでいたいものだの意で、終助詞「もがな」が願望を表している。「風」「塵」「起こす」が縁語となっている。
こち:東から吹く風、春風
ちり:塵。ごくわずかなもののたとえ
- 出典
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金葉和歌集
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教へおきて入りにし月のなかりせば いかで思ひを西にかけまし
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命をも罪をも露にたとへけり 消えばともにや消えむとすらむ