逢ひがたき法を広めし聖こそ
うち見し人も導かれけれ
- 歌の意味
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めったに出会うことのできない仏法を広めた聖こそは、ちょっと見ただけの人までもお導きになったことだ。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 638
めったに出会うことのできない仏法を広めた聖は、ほんのちょっと見かけただけの人までも仏道へとお導きになった、と詠む歌である。仏法に出会うことの難しさと、それを広めた聖の徳の大きさとをたたえている。
「法」を詠む歌が本巻の第六百二十六首から続いており、本歌は法を広めた聖をたたえる歌である。
作者の「永縁」は、大蔵大輔藤原永相の子で、興福寺の僧として権僧正に至った人物である。ほととぎすの歌で名高く、初音の僧正と呼ばれた。
初句「逢ひがたき」は、出会うことの難しいの意で、仏法に出会うことの難しさをいう。
二句「法を広めし」は、仏法を広めたの意で、過去の「き」の連体形「し」が三句の「聖」にかかる。
三句「聖こそ」は、聖こそはの意で、係助詞「こそ」が結句に係る。
四句「うち見し人も」は、ちょっと見ただけの人もの意で、接頭語「うち」が軽くの意を添えている。
結句「導かれけれ」は、お導きになったことだの意で、尊敬の「る」に、係助詞「こそ」を受けて詠嘆の「けり」の已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。
ひじり:徳の高い僧
うちみる:ちょっと見る
- 作者
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永縁
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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たらちねは黒髪ながらいかなれば 子はまゆ白き糸となるらむ
- 次の歌
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うき身をし渡すと聞けば海人小舟 のりに心をかけぬ日ぞなき