うき身をし渡すと聞けば海人小舟
のりに心をかけぬ日ぞなき
- 歌の意味
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つらい我が身を彼岸へ渡してくれると聞くので、海人の小舟に乗るように、仏法に心をかけない日はない。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 639
つらい我が身を迷いの此岸から悟りの彼岸へと渡してくれると聞くので、海人の小舟に乗るように、仏法に心をかけない日はない、と詠む歌である。衆生を救う仏法を、人を向こう岸へ渡す舟にたとえ、仏の救いにすがる心を表している。
本巻の第六百四十七首も、念仏の声を楫として苦しみの海を漕ぎ離れる歌で、仏法を舟にたとえている。また四句の「心をかけぬ」は、次歌の第六百四十首の四句「思ひもかけぬ」と通じている。
初句「うき身をし」は、つらい我が身をの意で、副助詞「し」が強めを表している。「憂き身」に、舟の縁で水に「浮き」の意を響かせている。
二句「渡すと聞けば」は、向こう岸へ渡すと聞くのでの意で、此岸から彼岸へ渡す仏の救いをいう。
三句「海人小舟」は、海人の小舟の意で、四句の「のり」を導いている。
四句「のりに心を」は、仏法に心をの意で、舟に「乗り」の意と、仏の「法」の意を掛けている。次歌の第六百四十首の四句「思ひもかけぬ」とも通じている。
結句「かけぬ日ぞなき」は、かけない日はないの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「なき」で結ぶ係り結びとなっている。二重否定で、常に心をかけていることを表す。「渡す」「海人小舟」「乗り」が縁語となっている。
うきみ:つらい身の意の「憂き身」に、舟の縁で「浮き」を響かせる
あまをぶね:海人の乗る小舟
のり:舟に乗る意の「乗り」と、仏法の意の「法」を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
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逢ひがたき法を広めし聖こそ うち見し人も導かれけれ
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いかにして衣の玉を知りぬらむ 思ひもかけぬ人もある世に