いつをいつと思ひたゆみてかげろふの
かげろふほどの世を過ぐすらむ
- 歌の意味
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いつかはいつかはと思って気をゆるめ、かげろうがほのかにひらめくほどの、はかないこの世を過ごしているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 641
いつかは仏道に励もうと先のことと思って気をゆるめ、かげろうがほのかにひらめいて消えるほどの短くはかない世を、むなしく過ごしているのだろうか、と詠む歌である。人の命のはかなさを知りながら、仏道への心をつい先延ばしにしてしまう人の心を戒めている。
本巻の第六百四十六首の初句「たゆみなく」は、本歌の二句「思ひたゆみて」と対照をなしている。
初句「いつをいつと」は、いつをその時と定めるのかの意で、字余りとなっている。いつかはと先延ばしにする心を表している。
二句「思ひたゆみて」は、思って気をゆるめての意である。本巻の第六百四十六首の初句「たゆみなく」と対照をなしている。
三句「かげろふの」は、かげろうのの意で、同音の四句「かげろふ」を導いている。
四句「かげろふほどの」は、ほのかにひらめいて消えるほどのの意で、三句の「かげろふ」を重ね、短くはかない時間をいう。
結句「世を過ぐすらむ」は、世を過ごしているのだろうかの意で、現在推量の「らむ」で結んでいる。
おもひたゆむ:気をゆるめる、油断する
かげろふ:陽炎や蜻蛉のことで、はかないもののたとえ。動詞としては、光がほのかにひらめく意
- 出典
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金葉和歌集
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いかにして衣の玉を知りぬらむ 思ひもかけぬ人もある世に
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世とともに心のうちにすむ月を ありと知るこそ晴るるなりけれ