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世とともに心のうちにすむ月を
ありと知るこそ晴るるなりけれ

歌の意味
いつも変わらずに心の中に住み、澄みわたっている月があると知ることこそが、迷いが晴れることであったのだ。
鑑賞
巻第十 雑歌下 642

 いつも変わらずに心の中に住み、澄んで輝いている月があると知ることこそが、心の迷いが晴れることだったのだ、と詠む歌である。人の心に本来備わる仏性を月にたとえ、それに気づくことこそが悟りであると説いている。
 本巻の第六百二十八首からの月の歌が、ここでは心の中の月へと移っている。衣の裏の玉に気づくことを詠む本巻の第六百三十四首、第六百四十首と同じく、自らに備わるものに気づくことを詠んでいる。

 初句「世とともに」は、いつも変わらずにの意である。
 二句「心のうちに」は、心の中にの意である。
 三句「すむ月を」は、住み、澄んでいる月をの意で、「住む」と「澄む」を掛けている。心の中の月は、人に本来備わる仏性のたとえである。
 四句「ありと知るこそ」は、あると知ることこその意で、係助詞「こそ」が結句に係る。
 結句「晴るるなりけれ」は、晴れることであったのだの意で、断定の「なり」に、係助詞「こそ」を受けて詠嘆の「けり」の已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。「月」「澄む」「晴るる」が縁語となっている。

すむ:住む意と、澄む意を掛ける
出典
金葉和歌集
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