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白雲と峰には見えて桜花
散れば麓の雪とこそ見れ

歌の意味
桜の花は、峰では白雲のように見えて、散ると麓では雪のように見えることだ。
鑑賞
巻第十一 異本歌 669

 桜の花は、咲いている峰では白雲のように見え、散って麓に降ると雪のように見える、と詠む歌である。峰と麓、咲く花と散る花とを対比させ、桜を白雲と雪の二つに見立てている。
 本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第一の第六十八首の次に置かれている。また巻第一の第三十六首も、遠くの峰に白雲と見えたものが桜であったと詠んでおり、初句「白雲と」を共有している。

 初句「白雲と」は、白雲のようにの意で、峰に咲く桜を白雲に見立てている。巻第一の第三十六首の初句と同じである。
 二句「峰には見えて」は、峰では見えての意で、四句の「麓」と対をなしている。
 三句「桜花」は、桜の花の意で、一首の主題を示している。
 四句「散れば麓の」は、散ると麓のの意で、已然形に接続助詞「ば」が付いている。
 結句「雪とこそ見れ」は、雪として見ることだの意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「見れ」で結ぶ係り結びとなっている。二句の「峰には見えて」と照応している。

しらくも:白い雲。山桜の花の見立てに多く用いられる
出典
金葉和歌集
前の歌
春の日ののどけき空に降る雪は 風に乱るる花にぞありける
次の歌
花のみや暮れぬる春の形見とて 青葉の下に散り残るらむ