秋ならで妻呼ぶ鹿を聞きしかな
折から声の身にはしむかと
- 歌の意味
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秋でもない時に、妻を呼ぶ鹿の声を聞いたことだ。鹿の声が身にしみるのは、秋という時節のせいなのかと思って。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 679
秋でもない時に、妻を呼んで鳴く鹿の声を聞いてみた、鹿の声が身にしみるのは、秋という時節のせいなのかどうかと思って、と詠む歌である。秋の鹿の声のあわれ深さを、秋以外の季節に聞いて確かめようとするという趣向で表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第三の第二百二十六首の次に置かれている。巻第三の第二百二十二首から妻を恋う鹿の歌が続いている。
初句「秋ならで」は、秋ではなくての意で、打消の接続助詞「で」が用いられている。
二句「妻呼ぶ鹿を」は、妻を呼んで鳴く鹿をの意である。
三句「聞きしかな」は、聞いたことだの意で、過去の「き」の連体形に終助詞「かな」が付き、三句切れとなる。
四句「折から声の」は、時節によって声がの意で、秋という季節を指している。
結句「身にはしむかと」は、身にしみるのかと思っての意で、三句以前と倒置になっている。
をりから:ちょうどその時節であることから
つまよぶ:雌を求めて鳴く
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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今よりは心許さじ月影の 行方も知らず人誘ひけり
- 次の歌
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今はしも穂に出でぬらむ東路の 石田の小野の篠の小薄