川霧の立ちこめつれば高瀬舟
分け行く棹の音のみぞする
- 歌の意味
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川霧が立ちこめてしまったので、高瀬舟が霧を分けて進んで行く棹の音だけが聞こえる。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 681
川霧がすっかり立ちこめたので舟の姿は見えず、霧を分けて進む高瀬舟の棹の音だけが聞こえてくる、と詠む歌である。視界を閉ざす霧と、その中に響く音とを対比させ、秋の川辺の情景をとらえている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第三の第二百四十首の次に置かれている。第二百四十首も、宇治川の川瀬も見えない夕霧の中に舟を呼ぶ声が聞こえると詠んでおり、霧に閉ざされた川で音を聞く趣向が共通している。
初句「川霧の」は、川に立つ霧がの意である。巻第三の第二百四十首の三句「夕霧に」と通じている。
二句「立ちこめつれば」は、立ちこめてしまったのでの意で、完了の「つ」の已然形に接続助詞「ば」が付いて理由を表す。
三句「高瀬舟」は、川で用いる底の浅い舟の意である。巻第四の第二百七十一首も、高瀬舟の棹の音を詠んでいる。
四句「分け行く棹の」は、霧を分けて進んで行く棹のの意である。
結句「音のみぞする」は、音だけが聞こえるの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「する」で結ぶ係り結びとなっている。巻第三の第二百五十三首の結句と同じである。
かはぎり:川に立つ霧
たかせぶね:底が浅く平たい川舟
さを:舟を進める棹
- 出典
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金葉和歌集
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今はしも穂に出でぬらむ東路の 石田の小野の篠の小薄
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色深きみ山隠れの紅葉葉を 嵐の風のたよりにぞ見る