音にだに袂を濡らす時雨かな
槇の板屋の夜の寝覚めに
- 歌の意味
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音だけでさえ袂を濡らす時雨であることだ。槇の板屋で夜中に目覚めているときに。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 683
槇の板で屋根をふいた家で夜中に目を覚ましていると、屋根を打つ時雨の音を聞くだけで、涙で袂が濡れてしまう、と詠む歌である。降りかかる雨でなく、その音だけで袂を濡らすと言うことで、寝覚めの寂しさと涙を表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第四の第二百五十九首の次に置かれている。前後には時雨を詠む歌が続いている。
初句「音にだに」は、音だけでさえの意で、副助詞「だに」が軽いものを挙げて重いものを類推させている。
二句「袂を濡らす」は、袂を濡らすの意で、時雨の雨に涙を重ねている。
三句「時雨かな」は、時雨であることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆する三句切れの歌である。
四句「槇の板屋の」は、槇の板でふいた家のの意で、時雨の音がよく響く屋根である。
結句「夜の寝覚めに」は、夜中に目を覚ましているときにの意で、三句以前と倒置になっている。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
まきのいたや:槇の板で屋根をふいた家
ねざめ:夜中に目が覚めること
- 出典
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金葉和歌集
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色深きみ山隠れの紅葉葉を 嵐の風のたよりにぞ見る
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風速みとしまが崎を漕ぎ行けば 夕波千鳥立ち居鳴くなり