風速みとしまが崎を漕ぎ行けば
夕波千鳥立ち居鳴くなり
- 歌の意味
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風が速いので、としまが崎を漕いで行くと、夕波の上で千鳥が飛び立ったり降りたりして鳴いているようだ。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 684
風が速い中、としまが崎を舟で漕いで行くと、夕方の波の上で千鳥が飛び立ったり降りたりしながら鳴いている、と詠む歌である。風に騒ぐ夕波と、落ち着かずに鳴く千鳥の姿を重ね、冬の海辺の寂しい情景をとらえている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第四の第二百七十首の次に置かれている。第二百七十首も淡路島を通う千鳥の鳴く声を詠んでおり、千鳥の歌が並べられている。「夕波千鳥」の語は、『万葉集』の柿本人麻呂の歌に見える。
作者の「顕仲」は、右大臣源顕房の子で、神祇伯となった源顕仲である。娘に待賢門院堀河らがいる。
初句「風速み」は、風が速いのでの意で、形容詞の語幹に接尾語「み」が付いて理由を表す。
二句「としまが崎を」は、としまが崎をの意で、歌枕とされる地名である。
三句「漕ぎ行けば」は、漕いで行くとの意で、已然形に接続助詞「ば」が付いている。
四句「夕波千鳥」は、夕方の波の上を飛ぶ千鳥の意である。巻第四の第二百七十首の二句「通ふ千鳥の」と同じく千鳥を詠んでいる。
結句「立ち居鳴くなり」は、飛び立ったり降りたりして鳴いているようだの意で、推定の「なり」で結んでいる。
としまがさき:歌枕とされる海辺の地名
ゆふなみちどり:夕方の波の上を飛ぶ千鳥
たちゐ:飛び立ったり降りたりすること
- 作者
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源顕仲
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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音にだに袂を濡らす時雨かな 槇の板屋の夜の寝覚めに
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愛発山雪降り積もる高嶺より 冴えても出づる夜半の月かな