古典和歌stream

朝日とも月ともわかず束の間も
君を忘るる時しなければ

歌の意味
ほんのわずかの間もあなたを忘れる時がないので、朝日の昇る時とも月の出る時とも区別がつかない。
鑑賞
巻第十一 異本歌 687

 ほんのわずかの間もあなたを忘れる時がないので、朝日の昇る昼も月の出る夜も区別なく、いつもあなたを思っている、と詠む歌である。別れた人を昼夜の別なく思い続ける心を表している。
 本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第六の第三百四十八首の次に置かれている。第三百四十八首は、昇る朝日にあなたを思い出そう、傾く月に私を忘れるなと詠む別れの歌で、本歌の「朝日」「月」「君」「忘るる」と対応している。
 作者の「公実」は、権大納言藤原実季の子で、権大納言となった藤原公実である。待賢門院璋子の父にあたる。

 初句「朝日とも」は、朝日の昇る時ともの意である。巻第六の第三百四十八首の二句「朝日に君を」と対応している。
 二句「月ともわかず」は、月の出る時とも区別せずの意で、昼と夜の別がないことをいう。巻第六の第三百四十八首の四句「傾く月に」と対応している。
 三句「束の間も」は、ほんのわずかの間もの意である。
 四句「君を忘るる」は、あなたを忘れるの意で、連体形が結句の「時」にかかる。
 結句「時しなければ」は、時がないのでの意で、副助詞「し」が強めを表し、已然形に接続助詞「ば」が付いて理由を表す。二句以前と倒置になっている。

わく:区別する
つかのま:ほんのわずかの間
作者
藤原公実
出典
金葉和歌集
前の歌
なかなかに霜の上着を重ねても 鴛の毛衣冴えまさるらむ
次の歌
我が恋は朧の清水いはでのみ 塞きやる方もなくて暮らしつ