知らせばやほのみしま江に袖ひちて
七瀬の淀に思ふ心を
- 歌の意味
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知らせたいものだ。あの人をほのかに見て、三島江で袖を濡らし、七瀬の淀のように滞って思い悩む私の心を。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 689
あの人をほのかに見ただけで、三島江の水に袖を濡らすように涙に濡れ、七瀬の淀のように思いが滞っている私の心を、あの人に知らせたい、と詠む歌である。歌枕の水辺の景に、ほのかに見た人への恋のもどかしさを重ねている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第七の第三百八十五首の次に置かれている。第三百八十五首も、袖に置く露を涙とする恋の歌である。
作者の「顕仲」は、右大臣源顕房の子で、神祇伯となった源顕仲である。娘に待賢門院堀河らがいる。
初句「知らせばや」は、知らせたいものだの意で、終助詞「ばや」が自己の願望を表す初句切れの歌である。
二句「ほのみしま江に」は、ほのかに見ての意の「ほのみ」と、摂津国の歌枕の「三島江」を掛けている。
三句「袖ひちて」は、袖が濡れての意で、水辺の景に涙を重ねている。
四句「七瀬の淀に」は、多くの瀬のある淀にの意で、思いが滞ることをたとえている。
結句「思ふ心を」は、思い悩む心をの意で、初句の「知らせばや」に返る倒置となっている。「江」「ひつ」「瀬」「淀」が縁語となっている。
みしまえ:摂津国の歌枕の三島江に、「ほのみ」の形でほのかに見る意を掛ける
ひつ:水にぬれる、ひたる
ななせのよど:多くの瀬のある川の淀み。歌枕とされる
- 作者
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源顕仲
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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我が恋は朧の清水いはでのみ 塞きやる方もなくて暮らしつ
- 次の歌
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ありふるも憂き世なりけり長からぬ 人の心を命ともがな