ありふるも憂き世なりけり長からぬ
人の心を命ともがな
- 歌の意味
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生きながらえていることも、つらい世の中であったことだ。長続きしないあの人の心を、私の命としたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 690
生きながらえていることさえつらい世の中である、いっそ長続きしないあの人の心を私の命にしたいものだ、と詠む歌である。あの人の心がすぐに移ろうのなら、それを命とすれば自分の命も早く尽きるだろうと言い、心変わりした人への恨みと生きるつらさとを重ねている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第七の第三百九十首の次に置かれている。前後には、人の心のつれなさを恨む恋の歌が並んでいる。
作者の「相模」は、相模守大江公資の妻となったことから相模と呼ばれた女流歌人で、のちに一品宮脩子内親王に仕えた。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「ありふるも」は、生きながらえていることもの意である。
二句「憂き世なりけり」は、つらい世の中であったことだの意で、詠嘆の「けり」で言い切る二句切れの歌である。
三句「長からぬ」は、長続きしないの意で、四句の「人の心」にかかる。
四句「人の心を」は、あの人の心をの意で、移ろいやすい恋人の心を指している。
結句「命ともがな」は、命としたいものだの意で、終助詞「もがな」が願望を表して結んでいる。
ありふ:生きながらえる、この世に過ごし続ける
- 作者
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相模
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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知らせばやほのみしま江に袖ひちて 七瀬の淀に思ふ心を
- 次の歌
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白菊の変はらぬ色も頼まれず うつろはでやむ秋しなければ