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白菊の変はらぬ色も頼まれず
うつろはでやむ秋しなければ

歌の意味
白菊の変わらない色も頼みにはできない。色が移ろわないまま終わる秋はないのだから。
鑑賞
巻第十一 異本歌 691

 今は変わらずに白い菊の色も、頼みにすることはできない、色が移ろわないまま終わる秋はないのだから、と詠む歌である。霜に当たって色の変わる白菊に、いつかは変わるであろう人の心を重ね、恋の行く末への不安を表している。「秋」に「飽き」を響かせている。
 本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第七の第三百九十四首の次に置かれている。前後には、恋人の心の移ろいを恐れ、恨む歌が並んでいる。
 作者の「公実」は、権大納言藤原実季の子で、権大納言となった藤原公実である。待賢門院璋子の父にあたる。

 初句「白菊の」は、白菊のの意である。
 二句「変はらぬ色も」は、今は変わらない色もの意で、人の変わらぬ心をたとえている。
 三句「頼まれず」は、頼みにすることができないの意で、可能の「る」に打消の「ず」が付き、三句切れとなる。
 四句「うつろはでやむ」は、色が移ろわないまま終わるの意で、打消の接続助詞「で」が用いられている。色が変わる意に、人の心が変わる意を重ねている。
 結句「秋しなければ」は、秋はないのだからの意で、副助詞「し」が強めを表す。「秋」に、心が離れる意の「飽き」を響かせている。三句以前と倒置になっている。

うつろふ:色が変わる。また人の心が変わる
あき:季節の秋の意で、心が離れる意の「飽き」を響かせる
作者
藤原公実
出典
金葉和歌集
前の歌
ありふるも憂き世なりけり長からぬ 人の心を命ともがな
次の歌
宵の間にほのかに人をみかづきの 飽かで入りにし影ぞ恋しき